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実用や本質と立場や正義がせめぎ合うブログ

コインは表と裏がくっついてコイン。 表の後ろを裏と呼び、裏の前を表と呼ぶ。 要するにコイン。

ブーツとホルダーの調整 

前回はエッジの調整について書いたので、今日はシムを中心としたブーツ本体とホルダーの調整について。

Get your adjustment in keeping with reversibility.


ホルダーがないと、スケート靴にエッジを取り付けられない。 ホルダーの取り付けはとても重要な事なんですが、実際はどこぞの工場で超☆テキトーな作業が行われています。
仮に日本のショップで細心の注意をはらって取り付けたとしても、ミリ単位の話なので滑ってみるまでわかりません。

実は大きな影響があるホルダーとブーツの関係について書きます。


ホルダーの役目


1.ブーツに前傾を与える
エッジがただ付いているだけと思われがちですが、ブーツに前後の高低差を与えるのもホルダーの大きな役目です。 この傾きがなくなったら同じようにスケートはできません。
ところがカタログを見ても、その具体的数字を載せている会社は見た事がありません。 あってもいいと思うんですが・・・。
例えば昨年、CCMは今までより高低差が大きいホルダーを作ってニューモデルに取り付けた事を大々的に宣伝していました。 ブーツの傾きが変わるというのは、メーカーが新商品の目玉にするくらいには重要だという事です。 なのに、各社がその数値を規格化して公表する事はありません。 不思議な世界です。

2.エッジの固定と設定
ホルダーを取り付けると、ブーツ(自分の足)とエッジの位置関係が自ずと決まります。
「位置関係」というのにも、意味は復数あります。 関数のグラフだと思ってもらえばわかりやすいでしょうか。 ブーツとエッジの関係は、普通は「x=0」の直線でしか存在しないと思われていますが、実際には「y=ax」や「y=-ax」の状態でエッジを取り付ける事も可能だし、「y=ax+b」といったオフセットを与える事もできます。 実際私はこの一次関数的な取り付けをやりました


ホルダー(及びエッジ)のサイズ
この記事を見ているような人は知っている可能性が高いと思いますが、いつの頃からか、純正品より大きいサイズのエッジを取り付けるカスタマイズが行われるようになりました。 何を隠そう、私もそういう時代にホッケーを始めた人間なので、実際にやった事もあります。 というか、今現在もそうしていると言えばそうです。 26.5cmの靴に、Tuukの272ホルダーなどを取り付けていました(現在は263)。 CCMのブーツという事もありましたが、その頃は市販の組み合わせより2サイズも大きい物を使っていたという事です。
このような道具選びは少しでも大きなエッジを取り付ける事で直線のトップスピードを向上させるのが主な目的だったのですが、前回まとめたようなコントゥアーが一般にも浸透するにつれ、その意義は加速度的に失われていったように思います。

私の現在の意見は、適正な大きさのホルダーとエッジを取り付ける事です。 かつて大きなホルダーを選ばなければいけなかった動機も、コントゥアーを施せばほとんど満たされるからです。
そのような立場から、拇指球より先のつま先部分にどれだけの長さを必要とするかを念頭に、にホルダー選びは自分の好きにするのが良いでしょう。


シムによる調整
調整を目的にどこか隙間へ挿入する薄型の物体を「シム」といいます。 シムによる調整は比較的お手軽なのが特徴で、そのシムを取り除けば元に戻す事ができる可逆性が残るのも長所です。

1.ヒールリフト・シム
ブーツの傾きを助長する為のシムです。 やったことも聞いたこともありませんが、前に積めば後傾させる事も可能です。

前回の記事にも述べたところではありますが、エッジのプロファイル変更によってブーツの傾きを変更するなら、±2くらいが精神的な限界だと思います。 それ以上の傾きをエッジの削り方に頼って得ようとすると、エッジの前後の素材量に著しい差が生じます。
もちろんやっていけない事はありませんが、先ほどの可逆性に差があります。 つまり、削ってしまったエッジはもう戻ってこないけど、シムは抜き差しすればいくらでも調整できるし、そもそもエッジだって減らない。

フォーラムの情報ではHDPE(高密度ポリエチレン)という素材が最も適しているとされていましたが、別にそれでなければ作れないという事は一切なく、起伏の一致しない靴底やホルダーに追従できる柔軟性と、競技中の圧力に堪える硬さを両立していれば、どのような素材でも構いません。
私は東急ハンズへ行って、適当に低発泡塩化ビニールで整形された樹脂板を買ってきました。 お値段400円くらいだったと思います。 その板から5セットは取れるでしょうからとんでもなくお安くできます。

Tuuk Lightspeed2 263mmのホルダーに対して、3mm上げれば私は充分です。 この3mmというのは、実は以前使っていたTuuk 272ホルダーと現在の263ホルダーの高低差がちょうどこの数字なのでした。 
今まで見た中で一番大きいシムは、6mm挟んでいる人もいましたね。
取り付ける際は、取り付ける方のリベットを外すだけで構いません。 

2.片側だけに積むシム

20140625152404_001 - コピー

VHの靴で初めて行ったのがメディアル・シムという調整。 
図中の矢印の先に示すように、内側だけにシムを積む事によって、外側へエッジを移動させるのが目的です。 逆の場合はカント・シムといいます。
あくまでエッジの位置を外や内側へ移動させるのが目的なのであって、
結果としてホルダーに角度がついてエッジが傾くのは副次的な変化です。 (氷に対する刃の角度だって重要なんじゃないか?と私も思うのですが、今のところそれを説明する文章に出会った事がない というのが現状です)

きっかけは、新しい靴にすると滑っていて妙に抜ける感覚があると気づいた事でした。 力強く氷をとらえている感覚に乏しい。 古い靴と交互に履いてみると、古い方はとてつもなく内側へ靴が倒れる感覚がありました。
古い靴はへたっているので、足の力を受け止めきれず内側へ倒れます。 この力の事を、膝にかかる力の観点から“トルク”とします。 トルクは行き過ぎると膝の故障の原因となりますが、全く存在しないか、むしろ逆方向のトルクさえ発生するようでは、スケートをする上で不都合なのではないかと私は考えました。 ある程度のトルクはスケーティングに必要だという考えです。

20140625152404_001 (2) 私は顕著なO脚であり、スケートのようなスクワット運動の主である大腿や臀部の筋肉から見ると、膝より下はオフセットして内側へ入り込んでいます。 これは常に逆トルクを発生する身体的特徴を持っていると言えます。 この為、やや使い古して内側へ倒れるようになった靴と身体的特徴の間でトルクの調和がとれて、適切なスケーティングができるのだろうと考察しました。

新しい靴を内側へ倒すには、エッジを相対的に外側へ移動させる必要がありますが、その手段の1つがこのメディアルシムです。
これもまた、必ずしもシムによる調整が常に最適解というわけではありません。 むしろ正確性から言えばシムによる調整は望ましくありません。 しかしここでも可逆性のメリットがあります。 シムなら取り外せば元に戻りますが、そうでなければ靴にいちいちリベット用の穴を空け直す必要があります。 おそらくその穴もスリット状に拡大してしまうでしょうし、いくら補修材を使ったとしても、推奨される類の事では決してありません。

Medial shims私が選んだ厚さは前2mm、後ろ1mm。
この調整に関しては、専用の測定器でも作らない限り、実際に何ミリエッジが移動したのか確かめる術がありません。 可逆性に優れても厳密性に欠けます。
写真ではわかりにくいですが、こんな程度でも相当傾いています。 使用感は申し分ないのですが、膝への負担を考えるとトルクは必要最小限に留めたいので、引き続き0.1mm単位でシムを削って調整をしていくつもりです。

余談ですが、私と逆のカント・シムを使えば、膝が内側へ入ってしまったり、ブーツが内側へ倒れてしまう人の矯正になります。 特に筋力的に改善が難しい女性選手には非常に有効です。
安易に行えば逆に故障の原因になったり、能力の発達を阻害する事もあるかもしれませんが、いくら練習しても改善しないならさっさと道具を自分に合わせる事を勧めます。


シムでは解決できない調整
「y=ax+b」で言うところの「a」を変える為には、残念ながら靴底の穴を拡げてホルダーごとずらすしかありません。 ここまでくると個人ではなかなか手を出しづらいので、お店との相談ありきで作業しましょう。


番外編:MLXスケート
→Makoの元ネタ
DSC01163.jpg今Eastonが売っている靴(あんまり使ってる人見ないけど)はMakoというんですが、実はこれ、VHのScottが携わって開発されたMLXというスケートが元になって作られた物です。 マリオ・ルミューの名前からとってMario LemieuX。 ルミューがどう関わっていたのかは全く知りませんけど。
その後MLXの権利は
Eastonへ譲渡され、現在それを元にMakoが生産されている・・・と、そういう事です。

→調整可能なホルダー

Chassis.jpg MLXは北米のプロ選手にも確かな信用があって使われていました。 ブーツ自体がどうだったかはさておき、この靴の一番の特徴はホルダーに調整機能が付いていて、取り付け位置を自由に・その場で変更できるようになっていた事です。
実際にMLXを履いている人曰く、ネジが緩んで調整が狂う事もあるみたいですが、それでもこの機能は確かに需要がありました。

→でも重い
重かった・・・。  片足900g以上。 今ではScottも見限っています。
でもこのアイディア自体はスピードスケート畑出身のScottらしい発想だったと思います。
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2014/07/12 Sat. 11:30 | trackback: -- | comment: 0edit

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