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実用や本質と立場や正義がせめぎ合うブログ

コインは表と裏がくっついてコイン。 表の後ろを裏と呼び、裏の前を表と呼ぶ。 要するにコイン。

スティックの理論とカスタムオーダー 

Easton V9E custom modelホッケーカテゴリに久しぶりの投稿です。 これまで自作ゴール(枠だけ)とスケート靴のカスタマイズなんかを記事にしましたが、今回は一気に飛躍してカスタムスティックのススメです。

Make a goal with your own blade.


最初っからお断りの話になっちゃうんですが、この記事クソ長いです。 いやホントに。 それでも全ての項目に渡ってかなりハショってるので、参考にするのは構いませんが、自分でよく考えて咀嚼して下さい。

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ちなみに最初に主だった名称の説明だけしておきます。
ブレードの先っちょがトー。 根っこがヒール。 ブレードには上のライン下のラインがあって、ブレードとシャフトの接合部周辺をネック(首)とします。



【曲がり】
店頭で販売されているブレードのほとんどは、北米リーグの主な選手が使っている形を商品化した物です。 その曲がり方は大別して3種類に分類できます。

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①ミッドカーブ
特に中央部分で曲がる物。 あるいは、中央を中心に全体的に曲がっている物。
例)Chara

・パックを多面的に触るのでスティックワークの収まりが良い
・常に曲がっているのでスイープ系のシュートが容易
 →パックは曲がっているポイント=角度が増えるセクションでブレードに乗る
曲面しかないので、シュートの角度を理論的に求める事は難しい


②ヒールカーブ
ヒールだけで曲がっている物。
例)Lidstrom Druly

・変化する(曲がっている)ポイントはヒールだけ
 →ヒールより先は1枚の板のような状態に

・角度が定まっているので理論的にパックの飛ぶ方向を説明可能
・スイープ系のシュートを打つには要技術
 →変化のポイントが一ヶ所しかないから



③トーカーブ
耳かきのように先端部分が特に曲がっている物。
例)Ovechkin Hossa
※例に挙げた選手のブレードですが、市販品では普通のミッドカーブになっていることは非常によくあります。 トーカーブを市販しても一般人は気持ち悪がってほとんど売れないからです。 しかし実際にはトーカーブを使っている選手はかなりの数存在します。

・見て分かるように、ショット時に先っちょしか使わないスタイル
 →もはやブレードテープもトーにしか巻かない
・スイープ系のショットは苦手
 →トー以外のセクションはほとんど変化がないため


また、曲がっている量を表す言葉として深さ(depth)という表現があります。 深く曲がっているほど、スティックを大きくねじっても正しい方向へシュートを打つことができます。 一方で、スイープ系に代表される スティックに頼らないショットにおいては不都合が生じる場合があります。


【開き】
ブレードがどれくらい開いているかというのは、大きく曲がっているかどうかとは関係がありません。 スティックの上下ラインの差がどれくらいあるかによってオープンブレードの程度が決まります。

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①が開きの大きいブレード。
いくら大きく曲がっていても、②のように上下のラインが同じであれば開きは生じません。

開いているブレードは扱いにくいと忌避されがちですが、いくら頑張っても肩口にシュートが飛ばない人はもっと大きく開いたブレードパターンを選ぶ必要があります。 また、オープンブレードは前段で言うところの深さにつながる要素でもあるので、開きが大きくなれば強いしなり・ねじれの反発を得る素養が生まれます。


【ライ】
シャフトとブレードのつくる内角をライ角といい、ほとんどの場合略して「ライ」と呼ばれています。

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ライには1~8の番号が振られていて、番号が若いほどシャフトは寝ており、逆に数字が大きくなるにつれどんどんシャフトが立ってゆきます。
現在市販されているブレードはライ5~6が圧倒的に多数です。 ここでライ5が標準であると仮定した場合、その角度は135度と定められています(これを氷に対するシャフトの仰角に換算すると、ちょうど45度ということになります)。 また、数字が“1”変動する毎に、角度も+/-2度ずつ増減します。
画像は実際の角度の通りに作図してありますので、どれほどの違いがあるのか参考にしてください。

ライは絶対的な身長の高低に左右されるのではなく、身長に対する相対的なスティックの長さで決まります。 身長が高くてもその選手の胸の高さで切ればライは立っていなければならないし、身長が低くても鼻や額の高さで切ったらライは寝ていなければならないということです。
この点については【番外編:スティックの長さ】に強く関連する文章がありますので、ぜひ合わせてお読み下さい。


【ロッカー】
丸みを帯びることをロッカードといいます。 ただ角を取ってあるというほどのものから、スティック本来のライ角まで変わっているのではないか?と思うものまで程度の差は様々です。

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①ヒールのロッカー
  • スティックを寝かせても(ライを無視しても)扱いやすい
  • ヒールでパックを扱う際、軸に近い場所で触る事ができる
  • しならせるショットにおいては足つき感が損なわれることも

②トーのロッカー
  • 着氷する点が手前に移動するのでクイックな使い心地
  • 大きな力を得ようとする人には逆効果


【トー形状】

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①丸(ラウンド)
上述のロッカードトーの一種ととらえてもいいのかもしれませんが、こちらは純粋に先端形状を工夫した末の丸形という位置づけです。 氷に対してトーを立てた際に点接触になる為、トーイングがしやすいのが特徴です。

②中間
丸と四角の両方を合わせた形。 これはあくまで個人的な感想ですが、あまりいいとこ取りをできている感じはありませんでした。

③四角(スクウェア)
着氷点がより軸から遠くに得られるのと、角が氷に引っかかるのとで、スラップショットなどに代表されるようなしなりとねじれを重用するショットで恩恵があります。 そのためディフェンスが選ぶ傾向があります。
そのかわりトーイングは氷と線接触になってしまうので苦手です。



【シャフト形状】
手で握っている部分の形です。 現状では3種類くらいに分かれます。

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①やや丸い物  ②平坦部分が凹面の物  ③角張った物

②などは明らかにホールド力の向上のためにデザインされた物だと思いますが、では①や③が何か狙いをもって作っているか?と言われると微妙なところです。 私自身は②や③であれば問題ありませんが、①のようなスティックは苦手でした。


【フレックス(振動数)】
これを硬さ(柔らかさ)と表現するするのは不正確です。
フレックスは数字で表されていますが、これはスティックの一部を万力のような物に固定し、そこに撃を与え、一定時間内に何回振動するかを計測したものです。 それは確かに、どれくらい硬いかという要素に結びつきやすいのは事実ですが、同じフレックスでもモデルや会社が違うと硬かったり柔らかかったりするのは、フレックスが文字通り硬軟を表すものではないからです。
フレックスは振動数であり、これが高いということは反応速度がはやいということです。 一概には言えませんが、振動数が高いのに柔らかいなら、優れたスティックだと言うことができるでしょう。


(2014/2/9 追記)
フレックスについて、情報にあやまりがある可能性があるので、元の文章は反転させて、こちらに新しいものを載せます。
フレックスの計測方法は、市販されている状態の長さでその中心に圧力を加え、それが1インチしなるのにどれだけの力がかかったかを重量ポンド法で表示したものです。
ただし、これを無視していると言われているメーカーも存在し、また測定方法を強制する機関や精度もありません。 多くのメーカーがこれと同じ測定方法を用いていると考えられているだけです。


【キックポイント】
スティックがしなるポイントを指します。 最近ではこれが2箇所あるような商品も発売されているようです。 自分が好む位置にキックポイントがある物を選ぶのも良いでしょうし、スティックを購入した後はどこを握れば最大にしならせることができるかなどを考えて練習に取り組む事も必要です。
本来はこれも選ぶことができると良いのですが、今現在そうしたサービスは存在しません(例えばゴルフクラブなどはキックポイントの調整が可能です)。
重複する内容は後述の【ネック形状(シャフト規格)】に任せます。


【ネック形状(シャフト規格)】
ネック部分(記事冒頭参照)の形は時代と共に変化してきました。 概ねこの3種類に分類可能です。

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①スタンダード
2ピーススティック(シャフトとブレードが別々に交換できるタイプ)が登場した際に、最初から存在した最も古い規格。 手で握っている部分が同じ太さのままネックにつながる形です。
形状による剛性変化がないため全体がまんべんなくしなります。 古いから廃れるのではなく、このようなしなり方が好きな人が選び続けているからこそ残っているのです。

②テーパー
先端にしなりを集中させるために考案された規格。 握っている部分よりネックを細くすることによって剛性のアンバランスを生み出し、局所的なしなりによって従来より大きい反発力を得ようとする試みです。
2ピースシャフトだけでなく、ワンピーススティックのほとんども形状的にはテーパーに分類されます。

③オーバル
現在イーストンだけが製造する楕円形状のネック規格。 ワンピーススティックのみに採用されています。 しなりの集中と反発力の期待はテーパードと同じですが、何と言ってもトーショナブル(ねじれやすさ)に着目した新しい形です。


【表面処理】
いわゆるグリップ処理とそうでない物の2つです。 このあたりは今後も新しい物が出そうな分野ですね。
私自身はグリップ処理された物を愛用しています。 ボトムスライドがうまくできないという人もいますが、私は慣れの問題だと思っています。 ホールド力をサポートしてくれるので強いショットが可能です。



【番外編:スティックの長さ】
最適なスティックの長さとはなんでしょう?

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左:Sidney Crosby 右:Alexander Ovechkin

どちらも紹介する必要のないほどの著名選手ですが、スティックの長さはどちらも鎖骨くらいで揃っていますね。 この2人に限らず、NHLに所属する多くの選手がこのようなスティックを使っています。 ディフェンスを含めて、です。
このような長さでプレーする北米リーグの選手の多くは、基本的にワンハンド(両手の距離が肘一本分の幅で握ること)でスティックワークをこなし、しならせるショットを打つ際にも、ボトムハンドをやや下げる程度で対応します。 しなりだけでなくねじれ(トーション)を多用するため、ほとんどブレードの先しか使いません。 故に、ブレードテープも先っちょにしか巻いていない選手が多数見受けられます。

留意すべきは、店頭に並んでいるブレードパターンのほとんどはこのような選手達が使っている物のレプリカであるのだから、やはりあなたの鎖骨くらいで切り合わせないと適正なライにはならないということなのです。

しかし全てのプロフェッショナルプレイヤーが鎖骨でカットしたスティックを使っているわけではありません。 その一例として典型的な選手をご紹介しましょう。

Martin+St+Louis+Vincent+Lecavalier+NHL+Star+ZlwzgKPhA8rl.jpg

写真右に写っている小柄な選手は、Martin St.Louis。 身長は172cmしかありませんが、年間60ポイントを稼ぐたいへん優れたプレイヤーです。
この写真は2009年頃に撮影されたものですが、どうも彼のスティックはスケートを履いた状態でくらいはありそうな様子。 彼は長尺のスティックを使うことで有名で、「よりパワフルなショットを選択するために長いものを使っている」と公言しています。 そしてその通りの結果を残しているのです。 実際、180cmを超える身長をもつ選手が鎖骨で切るのと、170cmを下回るような選手がそうするのとでは、スティックの使用感に雲泥の差があります。 前者ならスティックはしなりますが、後者では同じようにショットを飛ばすことは難しいと言わざるを得ません。
合わせて着目すべき点は、低いライ。 彼はこのようなスティックを扱うために、ライを3.5にして注文しています。 市販品ではほとんど5以下のライを見ることすらありません。

このように、メリットとデメリットをしっかり見極めているならば長さを決めるのは自由だということがわかります。 私自身は選手としてシュートに命を賭けているので、可能な限り長いスティックを使うことを是としています。 しかし、その長尺のスティックを使うための努力は必要です。



【カスタムオーダーの必要性とは?】
ここまでご覧になった上であえて書かせてもらいますが、不満がないのにカスタムオーダーなど必要ありません。 お金もかかるし、すぐ手に入る物ではありません。 しかし、ホッケーが機材スポーツである以上、道具でしか解決できないこともあるのです。 そのことについて、特に日本人はもうちょっと考えるべきだと思います。
カスタムブレード自体には以前から興味がありましたが、自分の気に入ったモデルが市販で存在していたことと、学生の身分で購入できる価格ではありませんでした。
しかし大学も卒業して現在に至ると、ついにお店のストックも底をつき(むしろよくもった)、愛用していたブレードがなくなってしまいました。 類似の物はいくつかありますが、決定的に違う点があって代替になりません。
そんな状況で、お店に当時Eastonの最高グレードであったStealth RS2が置いてあるのを見てそのオーバルネック規格に驚愕・・・すぐ家に戻ってお金をつかみ、全然違う曲がりでしたが、耐久性や使用感を確かめるために1本購入しました。 もうこの時点でこのスティックでカスタムオーダーしようと心に決めていました。

【私のブレード】

私はRoenickというEastonから発売されていたブレードを愛用していました。 高校生から大学卒業まで使いましたから相当な気に入りようでした。 曲がりは典型的なヒールカーブですが、深さも開きもやや控えめなので、スイープ系もスラップ系も問題なく打てます。 そして一番珍しい特徴が、この大きなロッカードヒール。 私が今まで見たカーボンブレードの中では最も極端なロッカー形状です。 ここまで角が落ちているとまた違った一面が得られるのですが、それはもはや感覚的な話なのでこれ以上は書きません。
一方不満がないわけではなく、ちょっとブレードが長すぎてプレッシャーの多い曲面では鈍いと感じるところがあります。
カスタムオーダーにあたっては、この点を解消するためにRoenickのブレードを整形していきます。

【ブレード整形】


original hockey blade ordering

先端を1cmほど削った後、既に何度も氷上で使用して確かめた姿がこちら。 表はなんともないように見えますが、裏側を見ると大きく剥離しています。 積層がむき出しの状態で酷使したので仕方ありませんね・・・。 これをパテで埋めて綺麗にしてから送ります。

original hockey blade orderingoriginal hockey blade ordering

使用したのはこちらのパテ。 テキトーに選びました。
少しくらいの傷はあちらで調整してくれると思いますが、あまりに大きいものは自分のためにも修復した方がいいと思います。 できあがった物が自分の望む形であるかどうか、保証はないからです。
性質の異なる2種類のパテを陶芸のようによく混ぜて使います。 パテは30分もすると硬化し始めますが、余裕をもって作業ができます。


original hockey blade ordering

パテ埋めが終わってこんな感じですね。 今回はとりあえずRoenickというブレードパターンを極力尊重する形で、先端を削った以外はほぼ何も変更せず送りました。



【オーダーを終えて】

Easton custom stick届きました・・・5ヶ月かかりましたけど^q^ 途中で色々あってかなりもめましたが、できばえは素晴らしいものでした。
箱には1つ番号が記載されていて、それが私が今回注文したブレードパターンの識別番号ということだそうです。 これはEaston本社に立体データとして登録されています。 例えば次回のオーダーでライを0.5小さくしたいと思ったら、この番号と変更点を伝えるだけで対応可能です。
オーバルネックと私のシューティング理論はやはり凄まじく相性が良く、これまでの自分とは全く別次元のショットが可能になりました。 やはりホッケーは機材スポーツ 道具と共に努力するのが正しいかたちです。

今後の展望ですが、オーバルネック自体がブレードに向かうにつれて末広がりの形をしています。 それによって、私が気に入っていたロッカー形状のラインが微妙に変わりました。 元の形が違うのだから、自分の望み通りにならない可能性があることについては最初からわかっていました。 次回はここを削って手直ししたいですね。
ライももっと寝ていた方がいいと感じました。 現在はスケートを履いて鼻か目線くらいの高さでスティックの長さを調整しているので、Martin St.Louisのようにライ3.5や4.0などを試してみたいですね。
ブレードの曲がり自体も、もっと深さ・開き共に大きくしていいのではないかと思っています。 それをねじり切るだけの体力と技術が今の私にはあるからです。 力があるのにふさわしい道具を選ばないと、正しい実力を発揮できないばかりか、プレーのクオリティ自体低下する場合があります。 それもある意味道具をうまく使えていない内のひとつではあるかもしれませんが、そんな後ろ向きなことを言っているヒマがあったらポジティブに取り組んだ方がいいと私は思います。

本当に長い記事で書いてる途中で私も相当めんどくさかったんですが、主に大学生と交流していてこういうのも需要あるんだなと感じたので なんとか書ききりました・・・。 ただしこれはあくまで知識にすぎないわけで、そういうスティックやブレードの性質、作り手が付与した性能や理論などを自分がどうくみ取ってシューティング理論にし、また取り組むか?これが最も大切なことです。 そこに至らなければ「だから何なの」で終わってしまいますしね。
正月早々1週間で2000発以上打つほどスティックのできばえに舞い上がっている私がお送りしました。
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2014/01/09 Thu. 23:52 | trackback: -- | comment: 0edit

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